【 Combat ST Warm 2000 SB 】

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ボディー フレーム・メイプル(トップ)/ホンジュラスマホガニ(バック)
    セミホロー・ボディー
    サンバースト仕上げネック
ネック ホンジュラスマホガニ(セットネック)
    インディアンローズウッド指板
ペグ Gotoh SG360-07マグナム
ブリッジ Wilkinson トレモロ
ピックアップ フロント&リア Gibson ’57 classic gold
    (w/3way コイルタップ・スイッチ×2)
    センター Fender Texas Special Strat
    (w/ on・off スイッチ)

 

 

2000年購入。

より心地良い音が出る様に、購入当初から改造を重ねたギター。 私のオリジナル曲をたくさん生み出している、頼もしいギターである。


購入時は2ピックアップだった。  ボディー・バックはホンジュラスマホガニー。そしてホンジュラスマホガニーのセットネック。 プラスティック・カバーの下は右がトレモロ・ユニット、左はアッセンブリー。




ヘッド・トップもフレーム・メイプル。 ペグはGotoh製SG360-07マグナムロック。 使い易い。

 

私がこのギターを初めて見たのは、WOWOWで放送された今井美樹さんのライヴ映像だ。
『あなたを夢見て』という曲の後半、美樹さんが衣装替えをするために退場する。
その繋ぎに長いインストルメンツの演奏になった。
丸っこい体つきの日本人ギタリストが、ストラトの形でいながらセミフォローの様なタイプの赤いギターで、
とてもとても長いソロをとった。
それはそれは心地良くよく歌う、私の心にジャストフィットする素晴らしいソロだった。
「日本人にこんな素晴らしいギタリストがいたのか!?」
私は興奮した。
松原正樹という人だった。
日本を代表する、大御所スタジオミュージシャンだった。
ラリー・カールトンの様に機材が多く、複雑なステレオ・システムのアンプセッティングで、 エッジがしっかりしていながらメローで心地良い音を出している。
アンプの機種は分かったが、ギターが分からなかった。

暫くしてそれがCombatというメーカーの、日本製のギターであることが分かった。
2000年に松原さんと渡辺香津美さんのシグネーチャー・モデルが発売された。

どうしてもあの松原さんの音が出したかった。
当時お世話になっていた三鷹の楽器屋さんに取り寄せてもらった。

先ず持ってみてバランスの良さに驚いた。
抱えたときのフィット感、重さといい、ネックの太さと形、指板のアール、全てがしっくりとフィットする。
もの凄く弾き易い。

色は渡辺香津美さんのタイプのサンバースト仕上げが気に入った。
即、買いであった。

ピックアップは確かTom Holmesのが付いていた。
しかし、出力が低く輪郭がハッキリしない。
私の技量では松原さんの様な音が出せない。
そこで思い切ってピックアップを出力の高いPaul Reed Smithに交換した。
(後で松原さんに聞いたらご本人のはSeymour Duncanだった)

ついでに各ピックアップ専用のコイルタップ・スイッチを着けた。
これで2ハムバッカーでありながら、4シングルコイルとしても使える。
スイッチの切り替えで15通りの組み合わせが出来る。
GibsonのハムバッカーとFender Stratocasterのシングルコイル・ピックアップの様な音 両方が出せる。
ブリッジの駒もWilkinsonの、よい滑りの良い(らしい)タイプ(ダークグレー色で素材は分からない)に替えた。

このギターは以後大活躍し、たくさん曲を生み出した。


2002年4月1日
映画『たそがれ清兵衛』の撮影で京都に滞在していた時、
泊まっていた全日空ホテルの部屋から、二条城の満開の桜が見えていた。
風に吹かれて花びらがサラサラと舞った。
その瞬間にアルペジオが浮かんだ。

持参していたこのギターで曲全体のアルペジオを仕上げ、すぐに録音し、
続いてメロディーもすぐに浮かんだので録音した。
ベースはAlembic SSB Series Ⅰ '78(後に売却)を持参していたので、続けて録音。
一気に曲が完成した。
曲名は『戦ぎ(そよぎ)』にした。
我ながら素晴らしい曲が出来た、と大喜びした。
メロディーを弾きながら
「これを松原正樹さんに弾いてもらえたらなぁぁ…」
と思っていた。
それをギタリストの安田裕美さんに話した。
安田さんとは2000年、劇団前進座の舞台『旅の終わりに』(五木寛之:脚本)に、
奥様の山崎ハコさんと共に客演された時に共演して以来、
音楽仲間として、大切なお友達としてお付き合いをさせて頂いている。
その共演の時に、私が長年作って貯めて来たオリジナル曲のテープを聴いてもらったら、
「これを仲間に聴かせてもいいかな?」
とお仰ったので
「もちろんです!!」
と答えた。
何とそのお仲間とは、松原正樹さん、岡澤章さん(b)、富倉安生さん(b)、という日本を代表する大御所ミュージシャンたちだった。
もちろん安田裕美さんご本人が、大御所中の大御所である。

そして安田さんの口利きで、
松原正樹さん(elg)、安田裕美さん(slg,acg)、エルトン永田さん(key)、南部昌江さん(key)、島村英二さん(drs)、中村梅雀(elb)
という信じられない様な豪華メンバーのバンドを組むことが出来たのである。
このメンバーで何度かライヴを重ねた。
NHKの『公園通りであいましょう』や『スタジオパークからこんにちは』でも生演奏した。
夢の様であった。
こんな凄いメンバーが私の曲を演奏している。
そしてベースを今、私が弾いている。
こんな快感があるだろうか♪♪♪

2003年3月。
このメンバーの演奏で、松原正樹さんのアルバム『The Guitar Bros.』の8曲目に、
『戦ぎ』は『SOYOGI』として収録されたのだった。
当HPに流れているバージョンである。
松原正樹さんのご自宅の地下にある【蓬莱坂スタジオ】で録音した。
録音はクリック無し。
「せーの」で一発録り。
一発OKだった。
私の【プロ・ベーシスト】としての初録音だった。

 

2008年。
念願叶ってリリースした私の1stアルバム『Bright Fortune』の中の
『Misty』『First Step』
も、このギターで作曲している。
もちろん『SOYOGI』も全く新たなアレンジで収録している。

 

そして
2011年。

更に便利なギターへと改造したくなった。

 

好きなギタリストの一人、Chieli Minucci の愛機 Pensa Suhr のハーフ・ポジションの、
キラキラしたクリスピーな音をどうしても出したかった。
そこで日本を代表するリペアの名手F氏にお願いした。
Paul Reed Smith と相性の良いピックアップを検討したところ、
センター・ピックアップとして Fender Texas Special Strat を追加する事にした。
そして専用のon/offスイッチを付けて、必要な時にいつでも加えられる様にした。

 

ところがその後、Paul Reed Smith のピックアップの音が気に入らなくなってしまった。
簡単に歪んで何となく様にはなるが、平べったくて音に腰が無い。
音に深みや味わいが足りない。
『何でも出来る』
けど
『これぞ』という音が出ない。

そこでまたF氏に相談したところ
かなり前の Gibson ’57 classic gold ピックアップのストックがあり
「あまり使われていない個体だけれども案外それが良いかもしれない」
とのこと。
絶対に大丈夫だという予感したので、それをつけてもらった。

案の定、とても良くなった。
音に腰があり
いかにも音抜け(音の通り具合)が良さそうな出音だ。
センターピックアップとのハーフトーンは少しまろやかになったが
それ以上にフロントとリアのハンバッカーの音が抜群に良い。
ギターが素敵に生まれ変わった。
これがあれば、『何でも出来る便利ギター』の安っぽさが無くなる。
不満なく何処へでも持ち出せる。
やはり中途半端は良くない。

ピックアップは、Gibson ’57 classic gold (フロント/リア)。
Fender Texas Special Strat(センター)。
Wilkinson トレモロ・ブリッジ。
コントロールは右からフロント/ミックス/リアの3wayピックアップ・セレクター。
マスター・ボリューム/マスター・トーン
ミニスイッチは右からセンターon/off、フロント3wayコイルタップ、リア3wayコイルタップ。

 

ピックアップのはレイアウトはH/S/Hでありながら、5シングルコイルであり、
その組み合わせは自由自在である。
パワフルなハムバッカーの音も、シングルコイルの繊細な音も素晴らしい。
そしてセンター・ピックアップを加えた時の、鈴の様なキラキラした音は堪らなく快感である。

実に魅力的な音が出せて、あらゆるスチュエーションに対して万能で、弾き易くて、心強いギターだ。
そしてこいつを持つと曲が生まれて来る。
これ一本あれば何でも出来る。
私にとって無くてはならない一本である。

 

(写真撮影:光齋昇馬)

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