'00年購入。
私がこのギターを初めて見たのは、WOWOWで放送された今井美樹さんのライヴ映像だ。
『あなたを夢見て』という曲の後半、美樹さんが衣装替えをするために退場する。その繋ぎに長いインストルメンツの演奏になった。
丸っこい体つきの日本人ギターリストが、ストラトの形でいながらセミフォローの様なタイプの赤いギターで、とてもとても長いソロをとった。
それはそれは心地良くよく歌う、私の心にジャストフィットする素晴しいソロだった。
「日本人にこんな素晴しいギターリストがいたのか!?」
私は興奮した。
松原正樹という人だった。
日本を代表する、大御所スタジオミュージシャンだった。
ラリー・カールトンの様に機材が多く、複雑なステレオ式のアンプセッティングで、エッジがしっかりしていながらメローで心地良い音を出している。
アンプは分かったが、ギターが分からなかった。
暫くしてそれがCombatというメーカーの、日本製のギターであることが分かった。
'00年に松原さんと、渡辺香津美さんのシグネーチャー・モデルが発売された。
どうしてもあの松原さんの音が出したかった。
当時三鷹駅の南にあった『三鷹楽器ロックスポット』で取り寄せてもらった。
先ず持ってみて、バランスの良さに驚いた。
抱えた時のフィット感、重さといい、ネックの太さと形、指板のアール、全てがしっくりとフィットする。
物凄く弾き易い。
色は渡辺香津美さんのタイプのサンバースト仕上げが気に入った。
即、買いであった。
ピックアップはたしかTom Holmes のが付いていた。
しかし、出力が低く輪郭がハッキリしない。
私の技量では松原さんの様な音が出せない。
そこで思い切ってピックアップをPaul Reed Smith に交換した。
ついでに各ピックアップ専用のコイルタップ・スイッチを着けた。
ピックアップの〔ネック側/ハムバッキング/ブリッジ側〕を選べる。
これでハムバッキングからシングルコイルへと瞬時に切り替えて、ストラトの様にクリスピーなカッティングも出来るし、ストラトタイプの音でのソロも出来る。
15通りのコイルパターンが選べるわけだ。
ボリューム/トーンのコントロールノブも、木製のは滑るので、指に引っかかりが良いゴールドタイプに替えた。
ブリッジの駒もWilkinsonの、より滑りの良い(らしい)タイプ(ダークグレー色で素材は分からない)に替えた。
これでCombat ST Warm 中村梅雀仕様の完成である。
このギターは以後大活躍し、たくさんの曲を生み出している。
'02年4月1日、映画『たそがれ清兵衛』の撮影で京都に滞在していた時、泊まっていた全日空ホテルの部屋から、二条城の満開の桜が見えていた。
風に吹かれて花びらがサラサラと舞った。
その瞬間にアルペジオが浮かんだ。
持って来ていたこのギターで曲全体のアルペジオを仕上げ、すぐに録音し、続いてメロディーもすぐに浮かんだので録音した。
そしてもちろんベースも、 Alembic SSB Series T '78(後に売却)を持って来ていたので、続けて録音した。
一気に曲が完成した。
曲名は【戦ぎ】(そよぎ)にした。
我ながら素晴しい曲が出来た、と大喜びした。
メロディーを弾きながら
「これを松原正樹さんに弾いてもらえたらな〜」
と思っていた。
それをギターリストの安田裕美さんに話した。
安田さんとは'00年、劇団前進座の舞台『旅の終りに』(五木寛之:脚本)に、奥様の山崎ハコさんと共に客演された時に共演して以来、音楽仲間として、大切な友人としてお付き合いさせて頂いている。
実はその'00年の時に、私が長年作って貯めて来たオリジナル曲のテープを聴かせた。
「これを仲間に聴かせてもいいかな?」
と仰ったので
「もちろんです!」
と私は答えた。
何と仲間とは、松原正樹さん、岡沢章さん(b)、富倉安生さん(b)、という日本を代表する大御所ミュージシャンたちだった。
もちろん安田裕美さん御本人が、大御所中の大御所である。
そして安田さんの口利きで、松原正樹さん(elg.)安田裕美さん(elg.acg.)エルトン永田さん(Key.)南部昌江さん(key.)島村英二さん(drs.)中村梅雀(elb.)という、信じられない様な豪華メンバーのバンドを組むことが出来たのである。
このメンバーで何度かライヴを重ねた。
もちろん最初は緊張したが、素晴しい音の演奏の中に自分が居る喜びで、胸はいっぱい、夢の様であった。
こんな凄いメンバーが、私の曲を演奏している。
あの松原正樹さんが私のメロディーを弾いている。
そしてベースを今、私が弾いている。
こんな快感があるだろうか♪♪♪
そして一年後の'03年3月、このメンバーの演奏で、松原正樹さんのアルバム『The Guitar Bros.』の8曲目に、【戦ぎ】は【SOYOGI】として収録されたのだった。(当HPに流れているバージョンである)
松原正樹さんの御自宅の地下にある【蓬莱坂スタジオ】で録音した。
録音はクリック無し。
「せーの」
で一発録り。一発OKだった。
私の【プロ・ベーシスト】としての初録音だった。
Combat ST Warm はまだライヴ等の人前で弾いた事は無い。
しかしこいつを持つと、曲が生まれてくる。
私にとって、無くてはならない一本である。
※写真は準備出来次第、順次載せます。
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