【 Conde Hermanos "Paco De Lucia" '04 】

 
Conde Hermanos "Paco De Lucia" '04



ジャーマン・パイン単板(トップ)
   ハカランダ単板(裏・側板)
   マホガニ(ネック)
   エボニー指板


 

 

 

 

 

 

 

 

※写真はクリックで拡大します




'08年1月購入。

このギターは、私の友人でテレビドラマ・プロデューサーのN氏の所有物であった。
彼は大変なギターコレクターであり、ギターリストでもある。

'06年3月。
彼のプロデュースするドラマに出演中
「フラメンコギターに興味ありませんか?」
と突然聞いて来た。
「もちろんあります。パコ・デ・ルシアなんか大好きです。」
と答えると
「実はコンデ・エルマーノスの【パコ・デ・レシア・モデル】を持っているんですが、弾いてみますか?」
もちろん
「弾きます!!!」
と即答。

彼はスペインのコンデ・エルマーノスの工房に直接注文して、作ってもらったそうである。
正に本物なわけだ。
お値段も半端では無い。
'92年にスペインで開かれた【Guitar Legends】のステージでも、パコ・デ・ルシアはコンデ・エルマーノスのこのシグネーチャー・モデルを弾いていた。
WOWOWの放送で観たが、物凄い演奏に鳥肌がたったものだった。

Conde Hermanos "Paco De Lucia" '04 Conde Hermanos "Paco De Lucia" '04
ジャーマン・パイン単板のトップ。
フラメンコ・ギターの特徴である透明シール状のガードが貼付けられている。
指板はエボニー製。
指板トップにもサイドにもポジションマークは一切存在しない。
ボディー側板とバックはハカランダ製。贅沢である。
ネックはマホガニー製。目が詰んでいる。


Conde Hermanos "Paco De Lucia" '04 Conde Hermanos "Paco De Lucia" '04
ヘッドの先端の形がコンデ・エルマーノスのギターである事を表している。
全てがハンドメイドの芸術品的風格とオーラを放っている。
目の詰まったエボニー製の指板が美しい。
サウンドホールを覗くとパコ・デ・ルシアのサインが見える。

 


数日後、撮影現場に彼が【パコ・デ・ルシア・モデル】を持って現れた。

ドキドキしながら弾いた。

凄い音だ!!!
こんなに響くギターにはお目にかかった事が無い。
音が一音一音ハッキリと前に飛び出して行く。
とてもパコの様に弾ける筈もないが、ナンチャッテ風フラメンコを弾いて大はしゃぎした。
N氏は何と、パコの曲をコピーしていた。
バリバリと弾く様は圧巻。
驚きであった。

すると彼が
「梅雀さんにこのギターをお貸ししますから、ジャンジャン弾いてやってください。」

というではないか。
「ほんとうにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ?♪♪♪」
もう大興奮である。

という訳で、このギターが我家に来たのである。


フラメンコ・ギターは初めてだし、クラシック・ギターもあまり弾いた事が無い。
ドギマギしながら弦を張り替えた。
パコ本人がどんな弦を張っているかは分からないが、取りあえずオーガスティンのレッドを張った。
どうもテンションが高すぎる。
やはりフラメンコ専用の弦でなければ駄目なのだろうか。

それでも一生懸命弾き捲った。
音の大きさと存在感は、私が弾いても凄いと思う。
気持ちが良い♪

『信濃のコロンボ』にレギュラーで出演していた伊吹康太郎さんは、伊吹吾郎さんの御子息。
親子でフラメンコ・ギターを演奏する事でも知られている。
グッドタイミングな事に、丁度親子揃って『信濃のコロンボ12』に出演なさったので、早速弾いてもらった。
やはりチャンと習って勉強した人は違う。
雰囲気といい、溜めやアタック感がフラメンコになっていた。
ついでに弦の張り方とかも教えてもらった。

それからはパコ・デ・ルシアのCDも買い捲った。
見事な演奏の数々に驚嘆し、聴いているだけですっかり芸術的な気分に浸っていた。



借りっ放しで一年半以上経った。
しかしこのギターを見ていると、強いオーラが出ていて何やら敷居が高く、勿体無い事に、ちっとも弾いていなかったのである。

こんな事ではN氏の思いにも応えられないと思っていたら、
〔フラメンコ・ギターが弾ける人物の役〕の話が舞い込んで来た。
しかしまだ全く弾けていないので躊躇していた。
そんな矢先にN氏から
「ライヴでフラメンコを弾くのでギターを返して頂きたい」
とメールが来た。

何と言うタイミング!?
ちなみにN氏はこのドラマとは何の関係もない。
が、このN氏のメールで私のチャレンジ心に火がついてしまった。
フラメンコはそんなに簡単に習得出来るものではない。
が、チャレンジしてみなければ分からない。
よし。やってみよう。
決心した。
そうなると、このギターが欲しくてどうにもならなくなってしまった。
「返してくれ」と言っている人に、逆に「譲ってくれ」というのは些か図々しいとは思ったが、
思い切って
「このギターを譲って頂けないでしょうか?」
と訪ねたところ、なんとなんと快諾されたのである!!!
信じられないくらい嬉しかった♪


'08年の年明け早々一番のビッグな出来事だった。
ずっとこのギターが私の物になる日を夢見ていた。
大切な宝物のギターを譲って下さるN氏の、私に対する友情と信頼に身の引き締る思いである。

このギターを弾いていると、音楽の世界観が変わって来る様な気がする。
音使いに対する意識が変わり、いつもと違う曲が思いついたりもする。
出音に説得力があるのだ。
やはり凄いギターなのである。

'07年10月に劇団から独立し、新しい人生を歩み出した私に、大きなパワーを与えてくれそうだ。

Nさん。
本当にありがとうございます!!!
このギターは一生、大切に可愛がっていきます。



(写真撮影:光齋昇馬)

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