No.23 【 Alembic SSB SCSB '87 】

 

 

キルテッド・メイプル(トップ/バック)/
マホガニ(コア) ボディー
   ナチュラル仕上げ(ハイ・グロス・ポリエステル塗装)
   3メイプル+2パープルハート・ラミネート・
スルーネック(30.75inch)
   エボニー指板
   高さ調整式ブラス・ナット
   デュアル・トラス・ロッド
   ピックアップ AXY4 ×2
   マスター・ボリューム、ピックアップ・バランサー、
low-pass filter w/Q スイッチ×2 (9V電池式)
   ソリッド・ブラス・マテリアル
   ゴールド・シャーラー・ペグ  



'96年購入。
当時メインベースとして使っていたSSB SeriesT '77 のサブとして、もう一本アレンビックが欲しいと思っていた。
'87年に【Stanley Clarke Signature Deluxe Bass】として、日本限定で38本作られた内の一本が、売れずに残っていたのだ。
ヘッドにはStanley Clarkeのサインが入っている。(シール貼りだが)
大阪の楽器店の在庫として、Player誌に綺麗な写真付きで広告掲載されたのを、通販で買った。
私にとって二本目のアレンビックだ。
高価なアレンビックを弾かずに買うということに勇気がいったが、お店の人の「作られてから年月がたっていますので木が痩せて、ラミネートにほんのわずか、触るとやっと分かる程度の段差が感じられます。ですが流石に丁寧な作りで、レスポンスの良いしっかりした音が出ます。」という言葉と、その正直そうな人柄を信じた。

届いた新品(と言っても作ってから10年近くたっているが)のアレンビックは美しかった。
キルテッド・メイプルのトップは、光の具合いで様々に木目を光らせる。

だが弾いてみると、アレンビックらしからぬ芯のしっかりした太い音が飛び出した。
ちょっと面食らった。
どんなにフィルターをハイにしても、あの音が出ない。
しかし考えてみれば SeriesTとはピックアップもプリアンプ(フィルター)もまったく違うわけだし、ピックアップの位置も違う。
おなじ音が出る筈が無かった。
高価な上にSeries Tの音(誰もがアレンビックの音として認識している音)が出ない。
だから売れ残っていたわけである。
多少落胆はしたが、ベースという楽器としてはむしろ使い易いと思った。

音の立ち上がりのレスポンスは素晴らしく、伸びも良い。
ハムバッキング・ピックアップのため、乱暴に弾いても音が乱れない。
ハッキリし過ぎるくらい歯切れの良い音である。
そしてあのスタンリーのようなアレンビック的音を出そうとさえ思わなければ、実に様々な音作りをする事が出来る。(スタンリー・クラーク・シグネチャーにしては変な話だが)
実はFender Jazz Bassの様に、どんなタイプの音楽にも対応出来るベースなのである。

30.75inchというショートスケールでストレート幅のネックは、24フレットまでまったくストレス無く弾くことが出来る。
重量バランスは、アレンビックSSBであるから悪いに決まっているから、気にならない( これを気にする人にこのベースを弾く資格は無い)

試しにテナーベースとして、A,D,G,C,で弦を張ってみた。
なかなか面白い♪
'96年の中村梅雀の初の主演2時間ドラマ『まじめ警部補とかたやぶり刑事』で早速登場させた。
私の演じる立花刑事が聞き込みの最中に、何故かクラブでベースソロを弾くのである。
このドラマは《梅雀に出来る事は何でもさせる》というコンセプトだった。
だから、犬好き(ゴールデンレトリバーがパートナーとして活躍)、車の運転が大好き、ベースが好き、料理を作るのが好き、日本舞踊が踊れる(家元の息子という設定)、女性が大好き… 等のことが盛り込まれた。
訳が分からないが、楽しいドラマであった。
ベース初登場のシーンでは、このテナーベースでStanley Clarkeの "If This Bass Could Only Talk"の様な感じのソロをやった。
画面の編集の都合上《一度通しで音だけ録音してから、その音に合わせて、弾いている
格好をして撮影する》というやり方をしなければならなかった。
自分の演奏したアドリブをすぐにコピーして、芝居をしながら演奏(当て振り)をするわけだ。
こうした場面の収録の難しさをいきなり体験した。
集中力勝負だったが、非常に上手くいった。
この経験が後の『温泉若女将』シリーズにおける《台詞を言いながらベースを弾く》という、お馴染みのシーンを生み出す事に繋がったわけだ。(こちらはいつも同時録音)

このベースはその後、普通のチューニングに戻した。

しかし、なかなか音楽現場に登場する機会が無かった。
それで何度か手放そうと思ったことがある。
だが、その度に改めて弾いてみると、底力の様なものを感じさせられて、結局手元に残るのである。

カッチリと芯があって、太くて鋭い音。
音作りのバリエーションの豊富さ。
ボディーが小さいので見た目が重苦しくない。
私に似合うのである。
様々な曲に対応するセッションをファッショナブルに楽しむのにも、なかなかいけるベースだ。
アレンビック・ベースとしては、当たりの一本だったと思う。
活躍させなければもったいない。
レコーディングにも試してみたい。

※写真は準備出来次第、順次載せます。

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