'04年購入。
Fender社のギター職人の中で、マスタービルダーと呼ばれる数人の職人たち。
その中でもトップに位置する大ベテラン、ジョン・イングリッシュ氏。
本来はストラトキャスターやテレキャスター等のギターの特別仕様を作っているが、山野楽器が「ベースを作ってくれないか?」と注文。
忘れた頃に出来上がって来たのが、この一本。
ハーレー好きのイングリッシュ氏は、ハーレーのボディー色のスウェード・ブルー・パールという、いかにもアメリカンな色で仕上げて来た。
ヘッドのロゴやペグは'70年代の仕様。
ネックや指板、ピックアップは'62年仕様。
ピックガードは'57年Precision Bass のアノダイズド・アルミニウム仕様。
Victor Bailey のプリアンプを組み込み、おまけにドロップDチューナー付き。
何とも好き放題のゴチャゴチャの組み合わせである。が、これぞイングリッシュ氏が理想と考える『稼げる(使える)ベース』ではないだろうか。
ベースギターの基本はJazz Bassの4弦。
音は'62年。
プリアンプとドロップDチューナーで、歌物などのバッキングにも対応幅を拡げる。
どこへ持って行っても、どんなタイプの演奏にも安心して使える。
なるほど、と思える一本だ。
プリアンプのコントローラーにミドルが無いが、充分に中域の張りがあるので不足を感じない。
トレブル/ベースのコントローラーはどちらもプラスのみ。
全部絞った時にはパッシヴとしての音になる。
イングリッシュ氏の求めた音を、崩さないコントローラーだと言える。
品が良く、出しゃばり過ぎないで、ちゃんと存在する音だ。
だからどんな曲にも心地良くフィットする。
流石は天下のジョン・イングリッシュ。
4弦それぞれの解放でも、4弦1fret〜1弦20fretまでどこで弾いても、ストレス無く落ち着いた豊かな出音。
ネックがとてもしっかりしていて、安心感がある。
なにもこの色でなくても… と、買った当時は思った。
ところが最近私はハーレー・ダヴィッドソンの魅力にハマり始めたので、今は妙に嬉しい。
ブラックのアノダイズド・アルミニウム・ピックガードは製造が難しいらしく、大変珍しい。
ハーレーのボディー色も、スウェード・ブルー・パールにはブラックのツートーンだから、この組み合わせになったのだろう。
おそらくイングリッシュ氏の所有するハーレーの色であろう。
このアノダイズド・アルミニウム板の表面は結構ザラザラしており(痛いという程ではない)、スラップをやっている内に右手の皮膚が擦れて削れ、1弦の外側に白く痕が残る。
拭けば簡単に取れるのだが、演奏中はちょっと気になる。
たぶん長く使う内に、手がよく擦れる部分のピックガードの表面が削れて、下のアルミニウムが姿を現すのであろう。
すると黒/銀のワイルドな雰囲気に変身する。
それがまたイングリッシュ氏の狙いなのかもしれない。
 |
カスタム・ショップのジョン・イングリッシュの製作である事の証明書。 |
|
Jazz Bassで育った私としては、自然とニコニコしながら弾ける。
不安なところがどこにもない、とても弾き易いし『持っていて良かった』とつくづく思う。
尖ったところの無い、実に大人なベースだと思う。
最近は、激しい曲に使ったらどう応えるかな… という期待感も感じる♪
まことに残念なことに、ジョン・イングリッシュ氏は'07年6月28日、57歳で逝去されました。
謹んでご冥福をお祈り致します。
(写真撮影:光齋昇馬)

本サイトに掲載されている画像・文章等、全ての内容の無断転載・引用を禁止します。

http://www.baijaku.com
|